二世帯で暮らす生活費 — 何を共通にして何を分けるか
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親と同居すると、世帯は二つなのに財布が一つになりがちです。光熱費を基本料金と使用量に切って分ける方法、食費が一緒に食べる回数で決まる理由、年金世代と現役世代で負担能力が違うことを前提にした決め方をまとめました。
親と同居を始めると、家計の形が変わります。住まいは一つ、電気のメーターも一つ、冷蔵庫も一つ。それなのに、収入源も生活時間も違う世帯が二つあります。
この状態を放っておくと、たいていどちらかの世帯が「自分たちのほうが多く出している」と感じたまま何年も過ぎます。 金額の問題ではなく、何を共通にしているのかが誰にも見えていないのが原因です。
世帯が二つあるのに、財布が一つになる
同居の最初の数か月は、細かいことを言わずに済ませようとします。買い物に行ったほうが払う、電気代は親の口座から引かれている、米は実家のものを食べている。
この状態は楽ですが、長くは持ちません。支出の総額が見えず、しかも誰が多く出しているかは全員がうっすら気にしているという、いちばん疲れる構図になるからです。
先にやることは分担を決めることではなく、共通費の範囲を決めることです。家全体にかかるもの(光熱費、通信費、固定資産税、修繕)と、世帯ごとのもの(食費の一部、日用品、保険、通信端末)を分ける。ここが決まれば、分け方はあとから調整できます。
固定費は、基本料金と使用量に切る
光熱費をどう割るかで最初に止まります。人数で割るのか、面積で割るのか、在宅時間で割るのか。どれにも言い分があります。
実務的に納得されやすいのは、基本料金と使用量を分ける方法です。基本料金はそこに住んでいれば必ずかかるので世帯で折半し、使用量の部分だけ人数で割ります。
親世帯2人、子世帯3人、電気とガスで月32,000円、うち基本料金が8,000円というケースを見ます。
| 項目 | 金額 | 親世帯 | 子世帯 |
|---|---|---|---|
| 基本料金(世帯で折半) | 8,000円 | 4,000円 | 4,000円 |
| 使用量(2対3) | 24,000円 | 9,600円 | 14,400円 |
| 合計 | 32,000円 | 13,600円 | 18,400円 |
13,600と18,400を足すと32,000円になります。在宅時間の差をさらに反映させたい場合の考え方は光熱費を在宅と出社で分けるに書いたとおりで、割合を変えるだけで対応できます。
食費は、一緒に食べる回数で決まる
同居でいちばん曖昧になるのが食費です。米や調味料は共通で、朝食は別々、夕食は週の半分だけ一緒、といった状態になりがちだからです。
ここで全部を共通費にすると、一緒に食べない世帯が損をします。逆に完全に分けると、冷蔵庫と調味料の扱いが決まりません。
現実的なのは二段構えです。米、調味料、洗剤のような共用品は共通費にする。食事そのものは、一緒に食べた回数ぶんだけ精算する。週に何回一緒に食べるかが安定してきたら、月額の定額に切り替えても構いません。定額にする判断の基準は食費のグレーゾーンと同じで、毎回の計算が面倒になった時点で切り替えどきです。
負担能力が違うことを、前提に置く
年金で暮らす世帯と、働いている世帯では、同じ金額の重みが違います。均等割りが公平に見えないのは、この差を無視しているからです。
かといって、現役世代が全部を持つと決めると、今度は親世帯の発言権がなくなります。お金を出していない側が家のことに口を出しにくくなるのは、同居の形として健全ではありません。
金額を割合にする方法は収入差のある割合負担で書いたとおりですが、同居の場合はもう一つ選択肢があります。親世帯が家そのものを持っている場合、住居費の現物負担として扱うという考え方です。家賃相当額を計上して、そのぶん現金の負担を軽くする。この扱いにするなら、いくらを家賃相当と見るのかを最初に決めて、書き残してください。
よくある質問
Q. 記録をつけると、水くさいと言われます。 記録は請求のためだけのものではありません。年に一度、実際にいくらかかっているかを二世帯で確認できる材料になります。金額を見たうえで「このままでいい」と決めるなら、それも合意です。
Q. 親が家賃を取りたがりません。 無理に取る必要はありませんが、光熱費や修繕費まで親の負担になっていないかは確認してください。家賃なしと生活費なしは別の話です。
Q. 介護が必要になったら、この分担は変わりますか? 変わります。医療費や介護費は生活費と性質が違うので、別のまとまりとして扱ってください。きょうだいがいる場合の分け方は親の介護費をきょうだいで分けるに書いています。
Q. 家を建て替えるときの費用はどう分けますか? 生活費とは切り離して、名義と負担割合を先に決めてください。ここを曖昧にしたまま出すと、相続のときに必ず問題になります。