割り勘とは?意味と語源 割り前勘定が縮まるまで
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割り勘は「割り前勘定」を縮めた言葉です。辞書に載る二つの意味、1867年の英和辞書に残る最も古い例、頭割り・折半・割り勘負けなど近い言葉との違いを、辞書の記述をもとに整理しました。
割り勘は、かかった費用の合計を人数で割り、一人ひとりが同じ額を払うことです。「割り前勘定(わりまえかんじょう)」という言葉を縮めてできました。
毎日のように使う言葉ですが、辞書を引くと、もう一つの意味が並んで載っています。そしてこの二つ目の意味が、会計の場で小さな食い違いを生む原因にもなっています。
辞書に載っている二つの意味
『精選版 日本国語大辞典』は、割勘を次のように説明しています。
勘定の総額を等分に割って各人が支払うこと。また、何人かで飲食した場合、各人が自分の注文に応じて支払うこと。
一つ目は、私たちがふつう思い浮かべる意味です。4人で12,000円なら、1人3,000円ずつ払います。
二つ目は、自分が頼んだ分だけを自分で払うという意味です。こちらは今なら「別会計」や「各自払い」と呼ぶことが多いでしょう。『デジタル大辞泉』にも、同じように二つの意味が並んでいます。
ふだんの会話では、一つ目の意味で使う人がほとんどです。ただ、辞書が両方を認めている以上、「割り勘でいい?」という一言が、人によって違う意味で受け取られることはあり得ます。頼んだものの値段に差がある会で「割り勘」と言うときは、全員で等分するのか、自分の分を払うのかを一言添えると誤解がありません。どちらが向いている場面かは、割り勘 vs 別会計で比べています。
語源は「割り前」と「勘定」
割り前は、全体を分けたときの一人ひとりの取り分や負担分を指す言葉です。「割り前をもらう」のように、今でも単独で使われます。勘定は、代金の計算や支払いのことです。この二つが合わさった「割り前勘定」が、割り勘のもとの形です。
『精選版 日本国語大辞典』によると、割前勘定の例として最も古く挙げられているのは、1867年の『慶応再版英和対訳辞書』です。幕末に出た英和辞書の中に、すでにこの言葉が載っていたことになります。
縮めた「割勘」の例は、それより60年ほどあとの、1925年の『社交用語の字引』が最も古いものとして挙げられています。小説の中の例としては、徳田秋声の『縮図』(1941年)に「往復の汽車賃や弁当代までを割勘にし」という一節が引かれています。
同じ辞書には、割勘と同じ意味の言葉として「兵隊勘定」も載っています。今ではほとんど聞かなくなった言い方です。
割り勘に近い言葉との違い
割り勘のまわりには、似た場面で使う言葉がいくつもあります。違いは、誰と誰で、どういう基準で分けるかにあります。
| 言葉 | 意味 | 割り勘との違い |
|---|---|---|
| 頭割り | 人数で等分すること | ほぼ同じ。費用以外の分配にも使う |
| 折半 | 半分ずつに分けること | 二人、または二者の間で使う |
| 割り前 | 一人ひとりの負担分 | 分けた結果の金額を指す |
| 別会計・各自払い | 自分の注文分を自分で払う | 辞書上は割り勘の二つ目の意味に近い |
| おごり | 一人が全員分を払う | 割らずに一人で持つ |
| 割り勘負け | 等分したせいで、食べた量に比べて多く払うこと | 割り勘の結果として生まれる損 |
カップルや同居の二人が「生活費は折半」と言うときは、割り勘とほぼ同じ意味で使われています。二人なら人数で割ることと半分にすることが一致するからです。
割り勘負けは、少食の人やお酒を飲まない人がよく口にする言葉です。等分という仕組みの性質上、必ずどこかに生まれる損なので、気になる会では最初から差をつける方法もあります。具体的な付け方は飲まない人がいる会の割り勘で扱っています。
「割る」には三つの決めごとが隠れている
割り勘という言葉は短いですが、実際に割るときには三つのことが決まっている必要があります。何の費用を割るのか、誰で割るのか、どういう比率で割るのか。
飲み会のように全員が同じ席にいる場面では、三つとも自然に決まります。ところが旅行や同棲の生活費になると、費用ごとに参加する人が違ったり、収入に合わせて比率を変えたくなったりします。辞書の「等分」だけでは足りない場面が、日常にはかなりあります。等分・割合・金額指定の使い分けは割り勘の3方式に、そもそも何を公平と呼ぶかは割り勘の「公平」とは何かにまとめています。
Evereでは、支払いを一件記録するたびに、割る人と割り方を選べます。等分なら均等割、比率を決めるなら割合指定、各自の額が決まっているなら金額指定です。
よくある質問
Q. 「割り勘」と「割勘」、どちらの書き方が正しいですか? どちらも辞書の見出しにある書き方です。『デジタル大辞泉』は「割(り)勘」と、送り仮名の「り」を省いてもよい形で載せ、『精選版 日本国語大辞典』は「割勘」の形で載せています。一般の文章では「割り勘」と書くのが読みやすいでしょう。
Q. 割り勘はいつごろから使われている言葉ですか? もとの形の「割り前勘定」は、1867年の英和辞書に例があります。縮めた「割勘」の例は1925年が最も古いものとして辞書に挙げられています。ただし、これは記録に残っている例の年代で、話し言葉として使われ始めた時期とは必ずしも一致しません。
Q. 二人で分けるときも「割り勘」と言いますか? 言います。二人なら割り勘と折半は同じ結果になるので、どちらの言葉を使っても通じます。